2016年3月2日水曜日

古い Core 2 Duo のノート PC を動画観賞用として使えるか?

PC で最新の 3D ゲームなどはしないけど、YouTube の動画などを見たりするのに使いたい・・・

そこで、古い PC を動画観賞用として使えるか?

あるいはどれぐらいのスペックがあれば使えるか?ないし使えるようにできる方法はあるか、という話です。

基礎知識 コーデックについて

現在使われている YouTube 動画のコーデックには VP9 と H.264 の 2 種類があります。

VP9 の方が新しいコーデックで、利点は同じ画質なら下の H.264 より通信量が少なくて済みます。欠点は、まだ新しいコーデックなのであまり普及しておらず、ブラウザーが対応していても GPU などのハードウェアは再生支援対応していないことがほとんどです。ハードウェアが対応していてもソフトウェア (DXVA など) 的に対応していないこともあります。

ブラウザーが対応していればこちらが優先されるようです。対応しているブラウザーは例えば Google Chrome や Mozilla Firefox などの一部バージョンです。

対応していなければ、H.264 が使われます。H.264 は古い歴史のあるコーデックです。VP9 に比べ圧縮効率が悪く同じ画質なら通信量が多くなります。利点は広く普及していることで、またハードウェアの再生支援も対応していることが多いです。

なお、ブラウザーが VP9 に対応していても H.264 を利用したい場合は、h264ify などのアドオンを使うと切り替えできます。GPU によるデコードの方が消費電力を抑えられるのでモバイル環境なら使ってみるのもいいかもしれません。

h264ify

今回検証に使う PC のスペックは?

基本的に、画質を落とせばかなり低スペックな環境でも鑑賞は可能です。でもそれじゃあ面白くないです。どれぐらいのスペックがあれば、どの程度の画質でまともに鑑賞できるか?

今回検証に使う環境は以下のようなものです。

さて、このスペックについてちょっとコメントしておくと、CPU の Core 2 Duo T7200 は、2006 年に発売された最初の世代の Core 2 Duo です。当時としては高性能な方に入るプロセッサーなので、一応今でも用途によっては実用にはなります。

64 bit (x64) ですが、その頃は 64 bit OS はあまり普及しておらず、ほとんどの PC に 32 bit OS がプレインストールされていました。そもそも最大メモリー自体も 4 GB でしたから、16 bit アプリケーションとの互換性を捨ててまで移行する利点もなかったといえます。

また、Windows 8.1 以降の必要機能である
  • PAE (Physical Address Extension)
  • NX (Execute Disable Bit)
  • SSE2
にもすべて対応しているので、最新の Windows 10 64 bit 版も使用できるはずです。試してはいませんが。

あとは GPU についてですが、この 7 シリーズの GeForce は H.264 デコーダーが搭載される直前の GPU です。なので、YouTube の再生支援は利用できません。

参考
DXVA help on nvidia 7600GT

Watching H.264 (and other) videos using Compute Unified Device Architecture (CUDA) or DXVA2 (DirectX Video Acceleration) native/renderless or Intel QuickSync Decoder or high performance software decoding

Wi-Fi アダプターは当時としては最高の 300 Mbps に対応したタイプで、2012 年ごろまでのハイエンド PC と比べても遜色ない性能なので、問題ないでしょう。

検証・VP9 コーデック編

さて、このマシンで YouTube を再生してみます・・・

ハードウェア アクセラレーションは昨日の記事の方法で全部強制的に有効にしています。コーデックは VP9 ですので再生支援は効きません。

Chrome の HTML5 プレイヤーで以下の動画を再生してみました。
BBB Loves CC (feat. Big Buck Bunny)
https://www.youtube.com/watch?v=4-Ddumty4mk

自動的に画質が 720p30 に設定されます。CPU 使用率はおおむね 40 % 程度で、十分な性能があるようです。コマ落ちも右クリックして開ける詳細統計情報を確認してみるといくらか発生しているようですが、気になりません。


1080p30 にしてみると、CPU 使用率が 70 % に程度に増え、コマ落ちも増えたようですが、何とか鑑賞できる程度です。

それ以上は完全に無理です。

続いて、60 Hz の動画を再生してみました。以下の動画です。
Big Buck Bunny [4k 2160p 60fps]
https://www.youtube.com/watch?v=ocVNYZ9O1G0

これは 720p60 だと意外と問題なく再生できます。動きが激しくなるとちょっとあれな場面もありましたがまあ何とか見れるぐらいかと。


1080p60 は難しいです。


検証・H.264 コーデック編

Windows Vista の Internet Explorer は VP9 と HTML5 に対応していないので、Flash Player、H.264 コーデックで動画再生することになります。

結論を言うと、こちらの方が重かったです。720p30 程度でもかなりギリギリ感があります。


結論

というわけなので、10 年前の CPU かつ GPU による再生支援なしでも、画質を選べばなんとか見ることはできるようです。

ただ、たとえ YouTube の詳細統計情報ではコマ落ちにカウントされていなくても、CPU 使用率が 100 % に近づくにつれ、実際に見ている感じではなんとなくぎこちなくなってきます。

設定をある程度落とすのを許容できるなら視聴は可能ですが、すでに 4K などの高品質な動画に慣れた人がこれで許容できるか?といったらちょっと疑問符が付くと思います。

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